大型トラックの死角と安全対策とは -「A-CAM」「iBOX2.0」で実現する事故防止-

大型トラックは構造上、車両周囲に複数の死角が存在します。特に左折時の巻き込み事故や後退時の接触事故は、ドライバーの注意だけでは防ぎきれない場合があります。
国土交通省や警察庁も安全装置の義務化を進めており、警報カメラや後付け警報装置の活用が有効です。本記事では、大型トラックの死角の位置とその危険性、さらに「A-CAM」や「iBOX2.0」を活用した対策方法について解説します。
1. 大型トラックの死角と事故リスク
大型トラックは小型車に比べて車体が大きく、運転席の位置も高いため、車両周囲に広い死角が生じます。死角はドライバーの目視確認では把握できない範囲を意味し、事故発生の要因となります。特に左折時の巻き込みや後退時の接触事故は、死角が直接の原因となることが多く、社会的にも大きな問題です。現在の法令による安全装置の義務化が進められている背景には、こうした事故リスクを減らす狙いがあります。
①前方・側方・後方の死角位置
大型トラックの前方死角は、車両前部の高さと運転席位置によって生じます。子どもや低い障害物はドライバーの視界から外れやすく、事故につながりやすい状況です。左側面は特に危険で、左折時には歩行者や自転車を巻き込む事故が多発しています。
後方についてもバックモニターがあっても、死角が完全に解消されるとは限りません。これらの死角位置を正しく把握することが、事故防止の第一歩です。
②死角が引き起こす主な事故類型
大型トラックの死角は、具体的な事故としてさまざまな形で現れます。もっとも代表的なのが左折時の巻き込み事故で、特に都市部では歩行者や自転車が犠牲になるケースが後を絶ちません。運転席の位置が高いために近距離の確認が難しく、左側面の死角が直接的な原因になります。
また、後退時の接触・衝突事故で、バックモニターが装備されていても映像の見落としや暗所での視認不良が要因となり、壁や他車両、さらには人身事故につながる危険があります。また、車線変更時には後方や斜め後ろの死角に小型車やバイクが入り込み、接触事故へ発展する事例も少なくありません。これらの事故類型はいずれも死角が引き金であり、ドライバーの注意力だけでは完全に防ぐことは難しいため、装置による補完が不可欠です。
③法令動向と事業者への影響
近年、国土交通省は大型車両における死角対策の強化に取り組み、安全装置の義務化を段階的に進めています。事業者が、対象車種や施行スケジュールの理解が不十分なままでは、違反による行政処分や社会的評価の低下といったリスクが生じかねません。そのような事態を未然に防ぐためにも、制度の背景や義務内容を正しく理解し、適切な対応を講じることが求められます。
一方、安全装置の導入は事故防止だけでなく、保険料の削減や企業ブランド価値の向上にもつながります。事業者にとっては、法令遵守と安全投資を両立させる姿勢が競争力の維持につながる重要な要素です。
2. 「A-CAM」による死角解消と巻き込み防止
新車には車両総重量8t以上の大型トラックに「側方衝突警報装置」の装着が義務付けられました。しかし既存車両には義務化が及ばず、依然として巻き込み事故の削減には課題が残ります。
こうした中で注目されているのが、既存車にも後付け可能な「A-CAM」です。「A-CAM」は法令で義務付けられている「側方衝突警報装置」とはちがいますが、死角対策として高い効果を発揮します。
①「A-CAM」の基本機能と特長
「A-CAM」は左折巻き込み事故の防止を目的とした警報カメラシステムです。AIが人の形を認識し、歩行者や自転車を検出すると警告を発します。警告はインジケータの点灯・点滅によって視覚的に通知するだけでなく、警報音によっても知らせるため、ドライバーは耳と目で危険を察知できます。「A-CAM」の導入により、従来のドライバーの注意力に頼る運転から一歩進んだ、AIによるリスク検知が実現します。特に市街地走行の多いトラックにとって、大きな安全効果をもたらします。
②既存車両の課題
2024年5月からは、新車の大型トラックに対して側方衝突警報装置の標準装備が義務付けられ、すでに運用が始まっています。一方で、既存車両に対する対応は依然として課題が残されたままです。それを解消するには、側方衝突警報装置の新車義務化の流れに合わせて、既存車両にも後付けの死角解消装置の取り付けを進めることが必要です。後付けの死角解消装置取付により、事業者は法令対応と事故防止を同時に実現できます。
「A-CAM」は、側方衝突監視警報装置として全日本トラック協会の助成対象機器となりました。既存車両でも側方衝突監視警報装置を取り付けることで、取引先や荷主からの信頼確保にもつながります。
③導入事例と効果
村山運送株式会社様
同社ではトレーラーに「A-CAM」を導入した結果、後方死角の「見える化」が進みました。導入前はヒヤリハットや後突事故が複数発生していましたが、装置搭載後は事故件数が大幅に減少しました。夜間や雨天時でも安定した視認性が確保され、ドライバーの安全確認が強化されています。
有限会社小林運輸様
同社では単車トラックに「A-CAM」を装着し、歩行者や自転車をAIが識別して警報する仕組みを活用しています。導入後は、ドライバーが死角に潜む危険を事前に察知できるようになり、狭い道路や新人ドライバーでも安全運行がしやすくなりました。安全意識の向上と運転負荷の軽減が効果として表れています。
3. 「iBOX2.0」による後方・側面死角対策
「A-CAM」が左折巻き込み事故に強みを持つ一方、後退や側面死角の事故防止に効果を発揮するのが「iBOX2.0」です。「iBOX2.0」は既存のバックカメラ映像をAIが解析し、危険を検出して警告を行うカメラ機能拡張ユニットです。後方や側方の移動物を検知し、ドライバーに視覚と聴覚で知らせることで、事故の未然防止につなげます。
①「iBOX2.0」の基本性能
「iBOX2.0」はAIによる画像処理技術を搭載し、カメラの映像をリアルタイムで解析します。後方の歩行者・自転車・バイク・自動車を検知すると、モニターに矢印を表示し、色や音で警告を行います。さらに、後方障害物検知では、障害物の距離に応じてバー表示を行い、接近時には警報音が作動します。加えて側方死角検知機能も搭載しており、横方向の人や車を枠で追尾表示します。これらの機能により、ドライバーは従来よりも高精度に死角を把握できます。
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②後付け対応とコスト効果
「iBOX2.0」は既存車両に後付け可能な点が大きな特長です。新たに高価な車両を導入する必要がなく、既存資産を有効活用できます。導入によって事故件数が削減されると、修理費や休車による損失も抑制できます。結果として投資回収期間が短縮され、コスト面でも優位性のある仕組みです。特に多数の車両を保有する企業にとっては、全体の運用効率を改善できる有効な投資といえます。
③安全評価向上
企業の安全評価が高まることで、荷主や取引先からの信頼が増し、受注機会が拡大する効果も期待できます。また、社内での安全管理体制の強化にもつながり、ドライバー教育の質を高めるきっかけにもなります。導入は単なる装置追加にとどまらず、組織全体の安全文化を醸成する施策です。
まとめ
大型トラックの死角は構造上、完全な排除は困難です。しかし、「A-CAM」による左折巻き込み防止、「iBOX2.0」による後方・側面死角解消といった装置を導入すれば、事故リスクは大幅に低減できます。法令対応を確実に行うとともに、事故防止の観点からも早期導入が重要です。企業にとっては安全確保が社会的責任であり、競争力を保つうえで欠かせない取り組みといえます。
本記事でご紹介した「A-CAM」や「iBOX2.0」についてさらにお知りになりたい場合は、以下のトライアルをぜひ一度お試しください。また、ご質問やご相談はお問い合わせにて受け付けています。