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トラックのオーバーハング事故|原因と回避策

東海クラリオン株式会社

東海クラリオン株式会社

大型トラックが交差点を曲がる際、車体の後部が大きく振れて歩行者や建物に接触する事故を「オーバーハング事故」と呼びます。物流を支えるトラック運送業界にとって、深刻な安全課題のひとつです。

この記事では、オーバーハング事故の構造的な仕組みから、事故の発生原因、被害リスク、回避策、企業が取り組むべき安全対策までを詳しく解説します。

最後に、事故防止を支援する最新ソリューションも紹介します。

オーバーハング事故とは

トラックのオーバーハング事故を理解するためには、まず「オーバーハング」という言葉の意味を知ることが大切です。まずはオーバーハングの定義や仕組み、事故の典型例について解説します。

オーバーハングの定義と仕組み

オーバーハングとは、車両の前後にある車軸(タイヤの位置)から車体が突き出している部分を指し、トラックでは後輪より後ろに長く伸びた部分が特徴的です。
この後部オーバーハングは、車体を支える軸から離れているため、旋回時に外側へ大きく振り出す性質があり、ドライバーの感覚以上に車体の一部が外へ膨らみます。この構造的な特性が、周囲の車両や歩行者、建物などに接触する原因になります。

オーバーハング事故の典型例

オーバーハング事故は、左折や右折のタイミングでよく発生します。左折時に後方が外側へ大きく膨らみ、後続車(2輪車を含む)や道沿いの標識・建物などと接触するケースが代表的です。
国土交通省の『事業用自動車の交通事故統計(令和5年版)』によると、2023年に発生した事故のうち、約2割が左折や右折による事故と示されています。
右折の際にも、建物の角や電柱に車体後部が当たる事例が多く見られます。見通しの悪い交差点や狭い道路では、ドライバーが十分な距離を取れないこともあり、こうした事故が起きやすくなる点には特に注意が必要です。

トラックのオーバーハング事故が発生する原因

オーバーハング事故には、複数の要因が絡み合っています。ここでは代表的な4つの原因を紹介します。

車両構造上の特性

大型トラックやロングボディ車は、後輪から車体後部までの距離が長く取られています。この構造が旋回時の外側の膨らみを大きくし、接触リスクを高めます。
また、トレーラーなどの連結車両では、車体の可動部が多いため、後部の動きが予測しづらいのも難点です。ドライバーが車両の全長や挙動を正確に把握していない場合、オーバーハングによる接触事故が起きやすくなります。

運転者の認知不足・経験不足

トラックの運転に不慣れなドライバーが、内輪差とオーバーハングの違いを理解していないことも事故の原因となります。明確な違いを示すと、内輪差は「前輪と後輪の軌跡の差」であり、オーバーハングは「車体後部の振り出し」です。似ているようで性質はまったく異なります。
経験の浅いドライバーが旋回時に「後部は大丈夫だろう」と誤認し、外側への張り出しを見落とすケースも少なくありません。

交通環境の要因

都市部では、交差点が狭く、電柱や標識、街路樹などの障害物が多い環境がよく見られます。加えて、路上駐車や自転車の走行などで車線の余裕がなくなり、旋回スペースが制限されるケースも多いのが実情です。
こうした環境下では、わずかなオーバーハングの動きでも接触につながることがあり、慎重な運転と高い空間把握能力が求められます。

ヒューマンエラーと心理的要素

人為的なミスも無視できません。急いで納品先に向かおうとする焦りや、時間に追われるプレッシャーが冷静な判断を妨げます。さらに、慣れによる油断や「これくらいなら大丈夫」という過信も事故の原因です。
運転中のストレスや疲労が判断力を鈍らせ、結果的に事故へとつながるケースも多く報告されています。

出典:国土交通省『トラック輸送の過労運転防止対策マニュアル』

オーバーハング事故の被害とリスク

オーバーハング事故は、重大な人的・物的被害をもたらします。ここでは、オーバーハングのリスクについて深掘りします。

歩行者・自転車との接触

人とトラックの接触事故は深刻です。特に通学路や住宅街では、トラックの旋回時に外側へ大きく振り出し、歩行者や自転車にぶつかるケースが目立ちます。
車体の後部が突然振れてくるため、歩行者側からは危険を予測しづらいという問題もあります。死亡事故につながる可能性も高く、社会的にも大きな課題です。

物損事故・企業リスク

建物やフェンス、電柱、街灯などへの接触も発生しています。物損事故は修理費用や保険料負担が企業に重くのしかかります。さらに、事故を起こした企業は取引先や地域社会からの信頼を失い、ブランドイメージにも悪影響を与えかねません。
一度の事故が長期的な損失につながることを、企業は真剣に受け止める必要があります。

法的責任とドライバーの負担

交通事故は法的な責任を伴います。被害者への損害賠償だけでなく、業務上過失致死傷罪などの刑事責任を問われる場合もあるため、注意が必要です。
また、事故を起こしたドライバーには深い精神的負担が残り、職務継続が難しくなります。運転者本人だけでなく、同僚や家族にも影響が及ぶ可能性があるため、事故防止の意識は現場レベルで共有することが不可欠です。

出典:国土交通省『自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル』

オーバーハング事故を回避する運転技術

オーバーハング事故は、適切な運転技術と意識の持ち方で事故発生を防ぐことが可能です。ここからは、具体的に事故を回避するための運転技術について解説します。

正しいハンドル操作と旋回時の意識

曲がる際には、後部の動きを常に意識しながら、余裕を持ったハンドル操作を心がけることが重要です。特に左折では、車体の後部が外側に膨らむため、前輪の軌跡だけでなく後輪と車体後端の動きもイメージしながら旋回させる必要があります。
また、狭い交差点では内輪差を意識するあまりに、オーバーハングを見落とすことが多いため、両方をバランスよく確認することが求められます。

交差点進入時の余裕を持った位置取り

交差点へ進入する際は、あらかじめ十分なスペースを確保した運転技術が求められます。左折時であれば少し外側に寄せてから曲がることで、後部の膨らみを抑えられ、右折時も同様に、旋回半径を広く取ることで接触を防げます。
また、急な速度変化は車体のバランスを崩す原因になるため、一定のスピードを保つことが理想的です。

ミラー・カメラの活用

車体の死角を補うためには、サイドミラーや補助ミラーをこまめに確認することが欠かせません。近年はバックカメラやサイドビューカメラの義務化により搭載された車両も増えており、これらを活用することで後方の状況をより正確に把握できます。
ただし、機器に頼りすぎず、常に「自分の目で確かめる」姿勢を忘れないことが大切です。

企業が取り組むべき安全対策

個々のドライバーの努力だけでは限界があります。企業として体系的な安全管理を行うことが、事故防止の支えになるため、順番に取り組んでおきたい安全対策について解説します。

ドライバー教育・研修

定期的な安全講習や実地研修を通じて、オーバーハングの特性を理解させることが有効です。特に新入社員を対象にしたシミュレーターを使った旋回訓練や、実際の車両での挙動確認など、体験型の教育が効果を発揮します。
また、内輪差とオーバーハングの違いを明確に区別して教えることが、認識ミスの防止につながります。

運行管理と安全文化の醸成

日々の運行管理でも安全意識を根付かせることが重要です。運転日報の活用や安全ミーティングの実施を通じて、ドライバー同士が事例を共有できる環境を整えましょう。
管理者が「安全第一」を明確に打ち出しつつ、組織全体が安心して働ける文化を生み出すことが大切です。

テクノロジーによる補助

近年では、死角検知センサーやドライブレコーダー、ADAS(先進運転支援システム)などの技術が発展しています。これらの導入は、ドライバーの負担を軽減し、ヒューマンエラーを補えます。
技術の進化を積極的に取り入れることが、これからの安全対策に欠かせません。

東海クラリオンの安全支援ソリューション

最後に、トラックの安全運行を支援する弊社東海クラリオンの取り組みをご紹介します。事故防止を支えるテクノロジーは、企業の信頼を守る大きな力になります。

死角検知システム・カメラ製品の紹介

東海クラリオンでは、トラック専用のカメラ・センサーシステムを開発しています。車体後部や側方の死角をリアルタイムで検知し、ドライバーに警告を発する仕組みを提供し、数多くの企業の安全対策を支えています。
結果的に、オーバーハングによる事故や接触の未然防止が可能です。大型トラックや中型車など、車種に応じた最適なカメラ配置も提案しています。

運送企業での導入の効果

実際に導入した運送企業では、事故リスクの軽減が報告されています。
ドライバーから「安心して旋回できる」「後部の動きが見えるので助かる」といった声が寄せられました。
映像記録機能を活用すれば、万一のトラブル時にも原因分析や再発防止に役立ちます。

問い合わせ・導入の流れ

東海クラリオンの公式サイトからお問い合わせいただいた後、担当者よりヒアリングさせていただきます。
その後、車両や運行形態に合わせた最適なシステムをご提案し、取り付け・運用サポートまで一貫して対応いたします。
トライアルの実施も可能なため、まずはお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

オーバーハング事故は、構造上の特性や認知ミスなどの要因が重なって発生します。しかし、正しい知識と技術、そして企業全体の安全意識による防止は十分に可能です。
ドライバー教育や運行管理の強化に加え、最新の安全支援システムを導入することで、事故リスクを軽減できます。
弊社東海クラリオンのカメラ・センサー技術は、その第一歩を後押しする強力なツールです。今こそ、企業として安全への投資を見直し、安心して走れる環境づくりを進めてみましょう。

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執筆者:東海クラリオン株式会社

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