052-331-4461

9:00~12:00、13:00~18:00(土日祝を除く)

アルコールチェック記録の保存期間は?―義務期間・保存方法・実務対応を徹底解説サムネイル画像

アルコールチェック記録の保存期間は?―義務期間・保存方法・実務対応を徹底解説

東海クラリオン株式会社

東海クラリオン株式会社

アルコールチェックの義務化が進むにつれ、企業には記録の管理体制を整える責任が求められています。特に「保存期間」を誤ると、法令違反につながる可能性もあるため注意が必要です。

アルコールチェックは実施するだけでなく、記録を適切に扱うことで安全管理体制が成立します。本記事では、義務化の背景を踏まえながら、保存期間を理解する重要性について解説します。

はじめに ― アルコールチェック義務化の背景と重要性

2022年の道路交通法施行規則改正により、アルコールチェックとその記録保存が事業者の義務になりました。対象は運送事業者だけでなく、社用車を保有する一般企業や建設業まで広がっています。

業種を問わず安全運転管理が求められる現状では、保存期間を正確に把握することが法令遵守と監査対応に直結します。適切な体制を整えることが、企業は事故リスクを下げ、信頼性を高める重要な要素です。

アルコールチェックの保存期間 ― 法的根拠と基本ルール

アルコールチェックの保存期間を正しく理解することで、事業所は監査にも適切に対応できます。ここからは、法律に基づく保存ルールを整理します。

保存期間は「1年間」が原則

アルコールチェックの保存期間は、『道路交通法施行規則第九条の十』により「1年間」と明確に定められています。この規定では、安全運転管理者が行うべき項目として、酒気帯びの有無に関する「確認・記録・保存」が義務付けられています。

記録対象は確認日、確認方法、測定結果、必要に応じた指導内容など幅広いのが特徴です。これらを1年間保存することで、企業は法令遵守を維持でき、監査時にも正確な情報を提示できます。

保存義務の対象となる事業者

保存義務の対象は、安全運転管理者を選任しているすべての事業所です。2022年4月から5台以上の白ナンバー(自家用車)を保有する企業や団体に選任義務が加わり、営業車を複数保有していれば該当するようになりました。

運送業や建設業は車両稼働が多く、より厳格な管理体制が求められています。規模に関係なく、車両利用に伴う組織全体が責任を持って運用することが重要です。

違反した場合の罰則・リスク

保存義務に違反すると、書類不備や記録未管理として行政指導や改善命令を受ける可能性があります。改善が見られない場合は、企業全体の信用低下に発展するケースもあるため、注意が必要です。このようなリスクを避けるためにも、日常的な運用の徹底が欠かせません。

保存方法の実務対応 ― 紙と電子のどちらでもOK?

アルコールチェックの保存方法には紙と電子データ、どちらで運用しても問題ありません。
しかし、事業所の体制に合わせた管理が求められます。ここからは、紙と電子それぞれの運用ポイントを整理します。

紙での保存方法

紙で管理する場合は、点検日時、運転者名、測定結果、確認者の記載など、アルコールチェック記録簿を使用します。日別または月別にファイリングして保管すると、監査時にも記録をすぐ取り出せるため運用しやすい形式になります。

紙保存には即時確認がしやすいメリットはありますが、保管スペースの確保や紛失リスクが伴う点が難点です。継続的に紙で管理するには、整理ルールの徹底が欠かせません。

電子データでの保存方法

電子管理では、デジタルアルコールチェッカーやクラウドシステムの記録を保存対象として扱います。削除や改ざんを防ぎ、必要に応じて出力できる状態で保管することが求められます。

特に電子管理の場合、記録の真正性確保という観点では電子帳簿保存法と同様に注意した管理が必要です。システム導入時には、保存要件を満たしているかを確認し、法令に沿った運用を進めることが重要になります。

混合運用の注意点

紙と電子を併用する場合、記録の重複や漏れが生じやすくなるため、慎重な運用が求められます。紙とデジタルで別に記録されると、監査時に不整合が発生する可能性もあります。

日報を統一して管理者の確認サインを付けるような、データの整合性を維持する工夫が欠かせません。記録を一本化する方針について定め、運用ルールを明確にすることでトラブルを防止できます。

保存記録に含めるべき必須項目

アルコールチェックの記録を正しく残すためには、法令で求められる項目を漏れなく記載する必要があります。ここからは、必須項目と実務で使いやすい記録フォーマットを紹介します。

法令で求められる記録内容

アルコールチェックの記録には、確認日、運転者名、確認方法、測定結果、管理者氏名などの記載が求められます。正確で一貫した内容を残すことで、企業の管理体制を示す根拠になります。

おすすめの記録フォーマット

国土交通省では、事業者が使用できる点呼記録のフォーマット(『アルコール検査記録簿(モデル様式・記載例)』)を提供しています。これをベースに、物流業や建設業、一般企業など業種ごとに必要な項目について追加したテンプレートを作成すると運用しやすくなります。

実務では確認者の署名欄や、異常があった場合の対応記録が抜けやすいため、チェックリスト化して記入漏れを防ぐ工夫が重要です。フォーマットを統一することで、管理者が複数人いても記録の質を維持しやすい体制を整えられます。

保存期間を過ぎた記録はどう扱うべきか

アルコールチェック記録は1年間の保存義務があります。しかし、その後の取り扱いも適切に判断しなければなりません。

ここからは、保存期間後の運用ポイントを整理します。

1年経過後の廃棄ルール

アルコールチェックの記録は、法令上1年保存していれば廃棄できます。
紙で保管していた場合は、廃棄証明を残しつつ、個人情報流出を防止する観点から、シュレッダーを用いて廃棄することがおすすめです。一方で電子データの場合は、削除ログを記録し、いつ誰が削除したか追跡できる体制を整える必要があります。適切な廃棄ルールを設けておくことで、運用の信頼性を維持しやすくなります。

監査や事故時に過去データが求められるケース

事故や労災が発生した際、過去のアルコールチェック記録が証拠資料として扱われる場合があります。警察や労働基準監督署、保険会社が調査をする場面では、運転者の状態を客観的に示すデータの提出を求められるケースが大半です。

必須ではないものの、任意保存することでリスク管理が強化され、企業としての説明力が高まります。過去記録を保持する判断は、事業内容や車両稼働の特性を踏まえて検討することがおすすめです。

アルコールチェック保存業務を効率化する仕組みづくり

保存業務は仕組みが整うほど安定しやすくなるため、まずは社内で管理体制を固めることが重要です。ここからは体制構築とコンプライアンス面の効果を解説します。

社内体制の構築ポイント

保存業務を効率化するには、安全運転管理者と補助者の役割を明確にし、記録管理の流れを統一することが欠かせません。日々の点呼記録を管理者が確認し、補助者がデータ整理をする形式にすると作業の偏りを防げます。

さらに、記録内容のダブルチェックや月次監査を取り入れることで、保存漏れや記入ミスの早期発見につながります。運用マニュアルを整備して、記入方法やファイル保存ルールを明示することで、担当者が変わっても品質の維持が可能です。

コンプライアンス強化への効果

保存体制を整える取り組みは、監査への対応力向上につながり、企業の信頼性を高める効果が期待できます。記録が正確に管理されている状態は、安全意識が社内に浸透している証拠として、外部から評価されやすくなります。

また、安全文化が根付くことで、採用活動で好印象を与えたり、取引先からの信頼獲得をしたりも可能です。日常の記録管理を強化する取り組みは、企業価値の向上にも直結する重要な要素になります。

まとめ ― 保存期間遵守が企業リスクを守る

アルコールチェックの記録保存は、法律で「1年間」の保管が義務付けられています。この基本ルールを確実に守ることで、事業所は監査への対応力を高め、法令違反によるリスクを避けられます。

紙でも電子でも保存は可能ですが、改ざん防止と必要なタイミングで出力できる体制を整えることが欠かせません。保存管理を効率化し、法令に沿った運用を継続する取り組みは、企業の安全体制を支える基盤として重要な役割を果たします。

今後はデジタル管理の普及が進み、自動記録化を含む高度な管理システムが主流になると考えられます。

東海クラリオン株式会社
執筆者:東海クラリオン株式会社

一覧ページへ戻る

CONTACT

安全機器システム、
ドライブレコーダーなどの
ことでお困りなら
東海クラリオンに
お任せください